
数字で追う、マダミスのこの6年
毎年たくさんの新作が生まれるマダミス。その中身は、じつは少しずつ変わってきました。BOOTH公開作品を発売年で並べ替えると、市場の成熟と作風の変化がくっきり見えてきます。案内役は物知りカラスのイマクロウと、好奇心旺盛な猫のミス・マダムです。
量産期に入った市場 — 年400作前後

マダミスって、毎年どんどん新作が出ているのよね。数の面ではどう変わってきたのかしら?

発売年ごとに数えると、はっきりした流れが見える。2020年から2025年までの、当サイト収録分の推移を並べてみよう。
当サイト収録の作品を発売年ごとに集計し、主な指標の推移をまとめました(持ち込み型シナリオ・当サイト調べ)。
| 発売年 | 新作数 | プレイ人数(中央値) | プレイ時間(中央値) | 無料率 |
|---|---|---|---|---|
| 2020年 | 221 | 5人 | 120分 | 33% |
| 2021年 | 440 | 4人 | 120分 | 44% |
| 2022年 | 388 | 4人 | 120分 | 40% |
| 2023年 | 359 | 5人 | 120分 | 33% |
| 2024年 | 386 | 4人 | 130分 | 27% |
| 2025年 | 458 | 5人 | 150分 | 27% |
作品数は2021年に一気に跳ね上がり、それ以降は年400作前後の高水準で安定しています。「たまに新作が出る」段階はとうに過ぎ、毎年たくさんの作品が生まれ続ける「量産期」に入ったことがわかります。
2019年・2026年について
2019年は日本上陸まもなく収録数が少なく、2026年は集計時点で年の途中のため、傾向を読む表からは外しています。
「無料から有料へ」— 無料率は44%→27%に

表を見ると、無料率がだんだん下がっているのね。2021年は4割を超えていたのに、2025年は3割を切って……。

よく気づいた。これがこの6年で最もはっきりした変化だ。無料率は2021年の44%から、2025年には27%まで下がっている。
もっとも明確な変化が、無料作品の割合の低下です。2021年には新作の4割超(44%)が無料でしたが、2025年には27%まで下がりました(冒頭のグラフの赤い線)。
これは「無料作品が減った」というより、市場が有料へと成熟したと読むのが自然です。
- 初期は「まず遊んでもらう」ための無料公開が中心だった
- 作り手の技術と評価が積み上がり、有料でも支持される作品が増えた
- 販売プラットフォームや決済が整い、対価を得やすくなった
無料作品は今も豊富にありますが(マダミスは3割が無料で遊べる)、新作全体で見ると、有料作品の存在感が年々増しているのです。
定番は「4〜5人・2時間」で安定した

よく「マダミスは少人数化・短時間化している」と聞くけれど、数字でもそうなのかしら?

そこは慎重に言う必要がある。中央値で見るかぎり、人数は4〜5人のあたりで安定し、時間はむしろ2025年に150分へと微増している。極端な短時間化は、全体では起きていないのだ。
意外に思われるかもしれませんが、市場全体の「定番サイズ」はむしろ安定しています。プレイ人数の中央値は4〜5人、プレイ時間も2〜2時間半のあたりで落ち着いています。
もちろん、2人用や30分の手軽な作品が増えたのは事実です。ただそれは「全体が軽くなった」のではなく、作品の幅が広がり、選択肢が両端に伸びたという理解が正確です。手軽な入門作から重厚な大作まで、遊ぶ人が自分に合ったサイズを選べるようになった——それが今のマダミスです。
『気軽さ』と『定番の安定』は両立する
「GMレスや短時間の作品が増えて気軽になった」ことと、「市場の中央値は4〜5人・2時間で安定している」ことは矛盾しません。裾野が広がっても、ど真ん中の定番は変わらず支持されている、ということです。
作風のシリアス化 — エモと心理戦が伸びた

中身の「雰囲気」はどうかしら。流行りの作風って、変わってきているの?

ここがいちばん面白い。作品に付いた雰囲気タグの比率を年ごとに追うと、はっきりした潮目が見える。
当サイトで付けた各作品の雰囲気タグが、発売年ごとに何%の作品に付いていたかを追いました(主要な作風を抜粋)。
| 作風 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 推理重視 | 30% | 28% | 23% | 26% | 32% | 35% |
| エモ(感情移入) | 17% | 20% | 24% | 28% | 22% | 26% |
| 心理戦 | 11% | 15% | 15% | 17% | 15% | 20% |
| コメディ | 17% | 18% | 15% | 14% | 9% | 14% |
読み取れる潮目は3つです。
- エモ(感情移入重視)の台頭 — 17%から26%へ。物語に泣ける・心を揺さぶる作品が明確に増えました
- 心理戦の伸び — 11%から20%へ。プレイヤー同士の駆け引きを楽しむ作品が着実に増加
- コメディの後退と、推理重視の復権 — 笑いを主軸にする作品はやや減り、いったん落ち込んだ「本格推理」が近年V字回復しています
全体として、ライトな笑いよりも、感情や駆け引き、本格推理といった「濃い」体験へ——作風のシリアス化が数字に表れています。
まとめ:成熟したマダミス市場

この6年の変化、すっきり整理できたわ。ひとことでまとめると?

「成熟」だな。数が増え、無料から有料へ移り、作風は濃くなった。遊ぶ側にとっては、選択肢が豊かになった良い時代さ。
数字で追ったこの6年のマダミスは、こうまとめられます。
- 量産期に定着 — 年400作前後の新作が生まれ続けている
- 無料から有料へ — 無料率は44%から27%へ。市場が商業的に成熟した
- 定番は安定、裾野は拡大 — 中央値は4〜5人・2時間前後で安定しつつ、手軽な作品から大作まで幅が広がった
- 作風のシリアス化 — エモ・心理戦・本格推理が伸び、選べる「濃さ」が増した
この記事のデータについて
数字はすべて、当サイトが収録する持ち込み型(ダウンロード/同人)シナリオのうち、BOOTH公開作品を発売年で集計したものです(2026年7月時点)。専門店の公演型は含みません。市場の「今」を俯瞰したい方は2026年版・マダミスの最新事情も、値段の相場はマダミスの相場をデータで見るもどうぞ。